フリーランスの入金を見通す|KASEGU · 第02回 / 全10回

「末締め翌月末払い」から入金日を逆算する

執筆 Remosia Co., Ltd. 公開 2026-08-02 読了 約6分

この記事の要点

  • 入金日を決めるのは納品日ではなく、請求日が締め日をまたいだかどうか。
  • 契約書から締め日と支払日の2箇所だけを抜き出せば、あとは足し算で入金予定日が年月日で出る。
  • 25日締め翌々月10日払いなら、4月24日の請求は6月10日、4月26日の請求は7月10日。請求日2日の差が入金1か月の差になる。

前回は、進行中の案件を「受注確定・納品・請求・支払待ち」の4つに分け、請求より先へ進んだものだけを合計すると、見込める入金額が出せる、という話でした。金額は出せます。ただし、それがいつ入るかは別の問題です。

締め日をまたぐかどうかで、入金の到着が大きく変わる様子

たとえば、初めての直取引で、契約書に「毎月25日締め、翌々月10日払い」と書かれています。今日納品したら、入るのは来月なのか、再来月なのか。検索すると用語の解説は出てきますが、自分の納品日に当てはめる手順は書かれていません。「たぶん翌月末くらい」と見当をつけたまま進むと、家賃の引き落とし前に残高が足りなくなりかけます。

入金日を決めるのは、納品日ではありません。締め日をまたいだかどうかです。契約書の2箇所を見れば、あとは足し算で出ます。この記事を読み終えると、手元の案件について入金予定日を年月日で言えるようになります。

契約書で見るのは2箇所だけ

支払条件は、次の2つの要素でできています。

締め日 — その月の請求をどこで区切るか。「毎月末日」「毎月25日」「毎月20日」などです。

支払日 — 区切った分をいつ払うか。「翌月末日」「翌々月10日」などです。

「25日締め翌々月10日払い」は、25日で区切って、その分を翌々月の10日に払う、という意味です。契約書の他の条項は、入金日そのものには影響しません。この2つだけを抜き出します。

1日の違いで、入金は1か月ずれる

締め日の翌日に請求すると、その請求は次の締め期間に入ります。

25日締め翌々月10日払いの場合、24日請求は6月10日、26日請求は7月10日に入金される

4月24日に請求すれば、4月25日の締めに間に合い、6月10日に入ります。4月26日に請求すると、次の締めは5月25日になり、入金は7月10日です。請求日が2日違うだけで、入金は1か月変わります。

同じ月に終わった仕事でも、請求を出した日によって到着する月が違う。これが、月ごとの合計が合わなくなる原因のひとつです。

手順

  1. 契約書・発注書から締め日と支払日を書き出します。 書かれていない場合は、作業を始める前に相手へ確認します。文面は「お支払い条件について、締め日と支払日をご教示いただけますでしょうか」で足ります。
  2. 自分の請求日を決めます。 納品日ではありません。請求書を発行して送る日です。
  3. 請求日と締め日を比べます。 請求日が締め日以前なら当月締め、締め日より後なら翌月締めとして数えます。
  4. 締めた月から支払日までを足します。 「翌月末」なら1か月後の末日、「翌々月10日」なら2か月後の10日です。
  5. 出た日付が土日祝なら、相手の運用を確認します。 前倒しか後ろ倒しかは会社によって違い、契約書に書かれていないことがほとんどです。初回だけ聞いておけば、以降は同じ扱いになります。

同じ請求日(4月20日)で、条件だけを変えると次のようになります。

  • 末締め翌月末払い — 4月末で締め、5月31日に入金。
  • 末締め翌々月末払い — 4月末で締め、6月30日に入金。
  • 25日締め翌々月10日払い — 4月25日で締め、6月10日に入金。

締め日が近い条件ほど、請求を出すタイミングの影響が大きくなります。月末に近い日に請求する習慣があるなら、締め日を意識するだけで入金が1か月早くなることがあります。

支払いが遅れている場合は、計算の問題ではない

ここまでは「いつ入るはずか」を出す方法です。計算した日を過ぎても入らない場合は、別の話になります。

取引によっては、成果物を受け取った日から起算して60日以内という支払期日の定めが関わります。ただしこれは、発注側と受注側が一定の要件を満たす取引についての定めで、すべての取引に自動的に当てはまるわけではありません。自分の取引が対象になるかは個別に変わります。

支払いが遅れて困っている場合は、フリーランス・トラブル110番や、公正取引委員会の相談窓口が使えます。まず契約書の支払条件と、実際の入金日を並べて記録しておくと、相談が早く進みます。

毎回思い出せるか

条件が分かれば計算はできます。続けられるかは、条件をどこに置くかで決まります。

  • 手計算のままで足りる — 取引先が1社、または条件がすべて同じ。
  • カレンダーに登録する — 取引先が2〜3社で条件が固定されている。締め日を繰り返しの予定にしておく。
  • 記録する場所を持つ — 取引先ごとに条件が違い、案件のたびに逆算している。過去の入金日を後から確かめたい。

3つ目に当てはまる場合、毎回契約書を開いて計算し直しています。条件は相手ごとに決まっているのに、案件ごとに思い出す作業が発生している状態です。

条件を相手ごとに登録しておく選択肢

ここまでの方法は、アプリがなくても実行できます。道具で減るのは、条件を思い出す手間です。

取引先ごとに支払条件を1度登録しておき、請求書を作るときに引き当てる。KASEGUではその形をとっていて、請求書を作ると支払期限の欄に日付が入ります。

KASEGUの請求書詳細画面。上から請求書番号、件名、種別、発行日、支払期限、クライアントの順に並んでいる

請求書の詳細画面です。上から請求書番号、件名、種別と続き、その下に発行日と支払期限が並びます。この2つの日付の関係が、この記事で計算してきたものです。

発行日2025年11月20日に対し、支払期限が2025年12月31日と表示されている

発行日が2025年11月20日、支払期限が2025年12月31日です。翌月末払いの条件が、そのまま日付として入っています。

ただし、自動で入るのは請求日を起点にした計算結果です。締め日をまたいだかどうかの判断(この記事の手順3)は、請求日を決める時点で自分が行います。土日祝の調整も行いません。日付を出す手間は減りますが、締め日の読み方そのものは、この記事の内容が引き続き必要です。

この方法が向かない場合

契約書に支払条件が書かれていない場合、逆算はできません。計算より先に、書面で条件を確認します。口頭の合意だけで進めると、入金日が相手の都合で動きます。

前払い、着手金、分割払いが混ざる取引では、1回払いを前提とした計算だけでは足りません。回ごとに締め日と支払日を当てはめます。

取引先が1社で条件が変わらないなら、一度覚えれば十分です。登録する場所を作る手間のほうが大きくなります。

今日、1件だけ計算する

手元の案件を1件選んでください。契約書から締め日と支払日を書き出し、請求日を決めて、入金予定日を年月日で書きます。

「たぶん来月末」ではなく「6月10日」と書けたら、その案件については終わりです。次に月末の資金を考えるとき、その日付が使えます。

KASEGU について

KASEGU は、案件ごとに見積書・納品書・請求書を作り、その書類の状態から来月の入金予定が決まる iPhone / iPad 向けのアプリです。クライアントに登録した支払条件から入金予定日が入り、源泉徴収後の受取額で月別に集計されます。クライアント3件・案件10件・書類20件までは無料で使えます。

本記事は、フリーランスが自分の入金を見通すための実務手順を扱うものです。源泉徴収の要否と税率、インボイス制度の要件、支払期日に関する法令の適用は、報酬の種類・支払者の区分・取引の当事者によって変わります。個別の判断は税理士または所轄の税務署へご確認ください。支払いの遅延で困っている場合は、フリーランス・トラブル110番や公正取引委員会の相談窓口が利用できます。KASEGU は記帳・決算・確定申告を行う会計ソフトではありません。