フリーランスの入金を見通す|KASEGU · 第04回 / 全10回

締め日をまたぐ請求の出し忘れを止める

執筆 Remosia Co., Ltd. 公開 2026-08-02 読了 約5分

この記事の要点

  • 出し忘れの原因は記憶ではなく、「納品は終わったが、まだ請求していない」状態をどこにも表示していないこと。
  • 点検は締め日の3営業日前に置き、未請求の書き出し・請求書の作成・送った日の記録の3ステップだけを行う。
  • 締め日を1日過ぎると請求は次の締め期間に回るため、忘れた期間が2日でも入金は1か月ずれる。

前回は、請求額から源泉徴収を差し引いた手取りを計算しました。入金日も金額も出せるようになりました。ただし、その計算は請求書を出さなければどこにも効きません。

納品済みの束と請求済みの束に分かれ、1枚だけ取り残されている様子

たとえば、4月に納品した案件の請求を出し忘れます。気づくのは5月末、入るはずの入金がなかったときです。カレンダーには「請求」とだけ書いてあります。その日は見たはずですが、どの案件のことか思い出せず、そのまま閉じています。入金は1か月ずれ、住民税の納付月と重なります。

出し忘れは、記憶の問題ではありません。「納品は終わったが、まだ請求していない」という状態を、どこにも表示していないためです。月末の3ステップ点検で止められます。この記事を読み終えると、今月出すべき請求を全部挙げられるようになります。

納品と請求の間には、必ず空白がある

納品した直後に請求書を出せる仕事は、多くありません。検収の返事を待つ、月まとめで請求する、相手の締め日に合わせる。理由はさまざまですが、結果として数日から数週間の空白ができます。

納品から請求までの空白期間と、締め日を過ぎたときに入金が1か月遅れる流れ

この空白の間、案件は「終わった仕事」として記憶から外れていきます。自分の中では完了しているので、思い出すきっかけがありません。

さらに、締め日が取引先ごとに違います。今日が20日締めの会社の締め日でも、25日締めの会社は関係ありません。「今日どれを請求すべきか」は日によって変わり、頭の中だけでは追いきれなくなります。

締め日を1日過ぎると、その請求は次の締め期間に回ります。入金は1か月後ろにずれます(前回の記事で扱った構造です)。忘れた期間が2日でも、影響は1か月分になります。

月末に3ステップだけ点検する

道具は要りません。次の3つを、決まった日に行います。

ステップ1: 納品済みで未請求の案件を書き出す 完了した仕事のうち、まだ請求書を送っていないものを紙に書きます。思い出せない場合は、直近1〜2か月の納品物やメールの送信履歴をたどります。

ステップ2: 請求書を作る 書き出した案件について、請求書を作成して送ります。相手の締め日に間に合わない場合は、次の締めに回ることを前提に、入金予定日を計算し直します。

ステップ3: 送った日を記録する どの案件を、いつ請求したかを残します。この記録が、翌月のステップ1で「もう出した案件」を除外する材料になります。

点検の日は、締め日の3営業日前に置きます。当日だと、書類を作る時間が足りません。取引先が複数ある場合は、いちばん早い締め日に合わせます。

カレンダーには相手の名前を書く

「請求」とだけ書いた予定は、見ても行動につながりません。何をどこまでやるのかが分からないためです。

繰り返しの予定として、取引先ごとに登録します。タイトルは「◯◯社 締め(3営業日前)」のように、相手の名前を入れます。予定を見た瞬間に、どの案件を確認すべきかが決まります。

取引先が増えたら予定も増えます。ただし、締め日が同じ相手はまとめて構いません。月に2〜3回の点検日があれば、たいていの取引はカバーできます。

記憶・カレンダー・一覧のどれで足りるか

  • 記憶で足りる — 請求が月1件で、締め日も1つ。
  • カレンダーで足りる — 取引先が2〜3社で、締め日が固定されている。
  • 一覧で出す — 取引先ごとに締め日が違い、納品から請求までの期間もばらつく。案件数が月5件を超える。

3つ目に当てはまる場合、ステップ1(書き出し)に時間がかかっています。思い出す作業そのものが負担になり、点検が後回しになります。

「納品済みで未請求」を機械的に出す選択肢

ここまでの方法は、アプリがなくても実行できます。道具で減るのは、ステップ1で思い出す手間です。

納品書と請求書を同じ場所で作っていれば、「納品書はあるが、対応する請求書がない」案件は機械的に抽出できます。探しに行かなくても、開いた画面に出ている状態にできます。

KASEGUのホーム画面。画面の下のほうに要対応のリストがある

KASEGUのホーム画面です。上部は入金予定、その下に実績や未入金の件数が並び、画面の下のほうに要対応のリストがあります。月末の点検で見るのはこのリストです。

要対応のリストに、未請求の納品書DLV-2025-001が表示されている

要対応の部分を拡大したものです。未入金の請求書と並んで、「未請求」の納品書(DLV-2025-001)が出ています。ステップ1の「納品済みで未請求の案件を書き出す」に当たる作業が、画面を開いた時点で済んでいる状態です。

ただし、検出しているのは「未請求である」ことだけです。締め日に間に合うかどうかの判定は行いません。締め日の管理は、この記事のカレンダー運用が引き続き必要です。道具は「忘れている案件を見つける」ところまでを担い、「いつ出すか」は自分で決めます。

この方法が向かない場合

書類を作っていない案件は、どの道具でも検出できません。口頭で受けて、納品もメールで済ませている仕事は、記録がないため一覧に出ません。金額の大きい取引だけでも書類を作るところから始めます。

月まとめ請求で意図的に据え置いている案件と、忘れている案件は、機械的には区別されません。意図的なものには「6月末にまとめて請求」といったメモを残しておくと、点検のたびに迷わずに済みます。

請求業務を家族や外部に委託している場合は、この記事の点検より、担当者との受け渡し日を決めるほうが早く効きます。

今日、締め日を1つ登録する

いちばん取引の多いクライアントを1社選んでください。その会社の締め日を確認し、3営業日前に繰り返しの予定を作ります。タイトルには会社名を入れます。

そのうえで、いま納品済みで請求していない案件がないか、1分だけ思い出してみてください。1件でも見つかったら、今日のうちに請求書を作ります。

KASEGU について

KASEGU は、案件ごとに見積書・納品書・請求書を作り、その書類の状態から来月の入金予定が決まる iPhone / iPad 向けのアプリです。クライアントに登録した支払条件から入金予定日が入り、源泉徴収後の受取額で月別に集計されます。クライアント3件・案件10件・書類20件までは無料で使えます。

本記事は、フリーランスが自分の入金を見通すための実務手順を扱うものです。源泉徴収の要否と税率、インボイス制度の要件、支払期日に関する法令の適用は、報酬の種類・支払者の区分・取引の当事者によって変わります。個別の判断は税理士または所轄の税務署へご確認ください。支払いの遅延で困っている場合は、フリーランス・トラブル110番や公正取引委員会の相談窓口が利用できます。KASEGU は記帳・決算・確定申告を行う会計ソフトではありません。